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囲碁・将棋の基礎知識「女流棋士について」

将棋の女流棋士

将棋の女流棋士は、男性の棋士と比べて不公平では、と思う方がいますが、そうではありません。将棋のプロ棋士になるには、「奨励会」(正式には「新進棋士奨励会」)に入会して「三段リーグ」で1位または2位になれば、四段のプロ棋士となること自体には、男女の区別はなく平等なのです。

しかし、現在まで奨励会三段リーグを突破して棋士になった女性は、一人もいないというのが現実なのです。そこで、なんとか現状をかえて、女性への将棋の普及を高めようと、「奨励会」とは、全く別制度として、「女流棋士制度」が始まったようなのです。


 

  • 現在までに、奨励会で入段(初段以上に)できたのは、「初段の加藤桃子」、「特別試験で奨励会1級に編入した里見香奈」、「西山朋佳」の3人しかおらず、今までに奨励会に挑戦した有名な女流棋士でさえ、1、2級止まりがほとんどなのです。
  • 「奨励会三段」にまでなった女性は、女流棋士の「里見香奈(女流五段)」(2018年3月に年齢制限により退会)と、初めて通常の奨励会ルートで三段に昇段した「西山朋佳」の、2人だけしかいないようです。
  • 2018年3月に、「中 七海」奨励会1級が、入段し、女性4人目の奨励会初段になりました。

 


  • 繰り返しになりますが、将棋でいう女流棋士は、「奨励会」を通して棋士になる制度とは全くの別もので、女性だけに適用される、通常の棋士制度とは別のものなのです。そのため、女流棋士になるための組織は、奨励会でなく、将棋連盟の「研修会」が担っています。

 

女流棋士になるには(将棋連盟の場合)

  • 「研修会」で女流3級を経て規定以上の成績を残して女流棋士になるルート。(2009年度から)現在、女流棋士になる主要なルートです。
  • 奨励会員(2級以上)から女流棋士になるルート。(2003年度から)「奨励会退会の級段位」が、そのまま「女流棋士の級段位」となる。この制度で、女流棋士となったのは、「岩根忍」、「伊藤沙恵」の二人だけのようです。
  • アマチュアから女流3級を経て女流棋士になるルート。(2013年度から)
強制引退
  • フリークラス棋士が強制的に引退になるように、女流棋士にも降級点規定で強制的に引退となることがあります。(囲碁と違い、強制引退規定がある)

 

女流棋士会の独立・分裂

現在、女流棋士を統括している組織は、「日本将棋連盟」と「日本女子プロ将棋協会LPSA)」の二つあります。以下に簡単な分裂の流れを示してみました。

  • 女流棋士の待遇改善などを求める要望から、2006年12月1日、女流棋士会が臨時総会を開き、その結果、56名(引退女流棋士を含む)中、「39名の女流棋士が残留」し、「女流棋士17名が独立」希望となり、女流棋士会は分裂しました。
  • 2007年5月30日に、独立派の連盟への残留しない女流棋士17名によって、「日本女子プロ将棋協会(LPSA)」が設立されました。

 

日本将棋連盟「棋士会について」

  • 女流棋士会の分裂による関連事項として、2009年4月1日に日本将棋連盟が、棋士・女流棋士の両方を合わせた新たな「棋士会」を創設し、1つの組織に統合されました。

 

日本将棋連盟の「正会員」について

  • 女流棋士会の分裂による関連事項として、日本将棋連盟の正会員は、奨励会で四段プロになった棋士だけだったが、2010年11月12日に「女流四段以上またはタイトル経験者」である女流棋士が、正会員に加わることが決まりました。
  • 「甲斐智美」、「里見香奈」、「清水市代女流六段」、「関根紀代子女流五段」、「長沢千和子女流四段」、「斎田晴子女流四段」、「矢内理絵子女流四段」、「千葉涼子女流三段(タイトル経験者)」、「谷川治恵女流四段(引退)」などが、日本将棋連盟正会員となった女流棋士です。
  • LPSA所属や、フリーの女流棋士(中井広恵女流六段、蛸島彰子女流五段、山下カズ子女流五段、石橋幸緒女流四段ら)は、日本将棋連盟を退会しているため除外されています。

 

 

囲碁の女流棋士

  • 囲碁の女流棋士は、女性である棋士というだけで、女性用の制度が別に存在するわけではないのです。しかし、プロ棋士採用試験(初段入段試験)において、男性棋士とは別に、女性だけで枠を争う「女性棋士採用枠」が設けられています。
  • ただし、女性が「一般採用枠」で初段に入段することも可能であります。しかし、現実には「一般採用枠」で入段した女性は、「宮崎志摩子」・「桑原陽子」・「加藤啓子」・「謝依旻」の4名のみで、大多数は「女流棋士特別採用試験枠」で、入段しています。

 

  • 「プロ入り時の女流棋士特別採用枠」、「女流棋戦に参加」が、女流棋士の主な優遇点ですが、それ以外の昇段規定などは男性棋士と同じで(女流棋戦の成績は昇段に関与しない)、同じ段位であれば、男性棋士・女流棋士でも同格となるようで、わざわざ、難しい一般枠を狙う意味は、ほとんど無いと思われます。

 

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