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将棋の「プロ棋士になるには」

将棋のプロ棋士になるには、以下の3通りの道がありますが、現実的には、ほぼ、奨励会ルートだと思って下さい。

  1. 奨励会ルート(一般的なプロ棋士になる方法)
  2. プロ編入試験(瀬川ルート)
  3. 奨励会三段リーグ編入試験

 

1.奨励会ルート(一般的なプロ棋士になる方法)

最も一般的なプロ棋士になる方法で、奨励会に入会して、三段(通常6級スタート)まで昇段し、三段リーグ(半年間)に参加し、そこで1,2位の成績を残せば、四段昇進し、プロ棋士(順位戦C級2組)になれます。

また、三段リーグおいて、次点2回になると、順位戦フリークラスへの権利を得る事ができます。権利を行使すれば、フリークラスの四段プロ棋士となれます。(ただし、10年以内に、C級2組に上がれないと引退となります)

奨励会に入会するには

  • 奨励会に入会するには、最低アマ四段程度の実力が必要で、入会できれば通常6級から始まるので、おおむね「アマ四段=プロ6級」ということになります。
  • 奨励会入会試験の受験資格は満19歳以下で、プロ棋士から推薦を得た者となっており、プロ棋士の弟子になる必要があります。奨励会への入会試験には、1次試験・2次試験とあり、対局が中心となりますが、面接や筆記試験などもあるようです。

 

奨励会入会した後は

  • 奨励会は、七級から三段で構成されていており、二段までは、関東・関西にそれぞれ分かれて奨励会員同士で対局を行い、規定の成績を収めたときに昇段・昇級することができます。
  • 奨励会三段は、通称「三段リーグ」と言われている、関東・関西合同のリーグ戦で、約30名の前後で争われ、上位2人までに入れば、四段昇段となり、プロ棋士となることができます。年に2度行われ、半年に2人、基本、一年で4人しかプロになることはできません。(その他に、次点2回で、フリークラスの棋士となることができます。)

 

奨励会の年齢制限(通常入会の場合)

  • 満21歳の誕生日までに初段になれなかった場合は退会となる。
  • 満26歳の誕生日を含むリーグ終了までに四段になれなかった場合は退会となる。(三段リーグで勝ち越せば、次期三段リーグに参加でき、満29歳まで延長在籍することができます)

 

2.プロ編入試験(瀬川ルート)

「奨励会」以外でプロになる方法ですが、受験資格が非常に厳しくて、実現性はほとんど無いと思われます。また、プロと言っても、「フリ―クラスへの編入」なので、10年以内にC級2組に上がれないと引退となります。

 

受験資格、試験内容について

  • アマ棋士として、十分な実績を上げると、プロアマ参加の公式戦でプロ棋士と対戦する機会が与えられることがあります。 (銀河戦・竜王戦・朝日オープンなど) そこで、10戦以上プロと対局し、勝率が6割5分以上であれば、プロ編入試験の受験資格を取得することができます。
  • プロ編入試験は、プロ棋士との5番勝負(試験官は新四段5名を棋士番号順に選出、持ち時間3時間)、3勝以上で合格となり、 フリ―クラスへの編入資格を得ることができます。
  • 受験料は税別で50万円かかるそうです。

 

プロ編入試験の合格者

1.瀬川晶司 五段
  • 当時は、制度化されていませんでしたが、公式戦でプロに勝利することによって、新たなプロ棋士への道をつくり、制度化されたようです。
  • 2005年2月末、プロ相手に17勝6敗、勝率0.739 を残した事により「プロ編入の嘆願書」を日本将棋連盟に提出し、全棋士の多数決(賛成129、反対52、白票8)でフリークラス編入試験実施が認めらることとなったわけです。
  • 2005年4月1日に「瀬川晶司」 氏が35歳で、この制度で初めてフリークラスのプロ棋士(フリークラス編入から3年半でC級2組へ昇級)になった訳です。全くのプロ未経験というわけでは無く、元々奨励会出身で、三段リーグを突破できずに、26歳で退会した経歴があります。

 

2.今泉健司 四段
  • 2015年4月1日に「今泉 健司」氏が41歳でプロ棋士となりましたが、非常に特殊な事例のため、経歴を簡単に紹介してみます。
  • まず、奨励会員として、1994年の第15回から三段リーグに在籍していましたが、1999年の第25回で年齢制限により退会(この奨励会時代の師匠は小林健二、その後、桐谷広人が師匠となる)。
  • 次に、2006年には、3つのアマチュア棋戦で優勝し、2007年に創設された三段編入試験(当時、6勝で合格、3敗で不合格)の第一号の適用者となり、2007年の第41回から2008年の第44回の4期、奨励会三段リーグに参加しましたが、再び、規定により退会という、2度の奨励会退会を経験しています。
  • その後、2015年4月に、プロ編入試験に合格し、ようやくフリークラスの四段プロとなりました。
  • その後、2016年11月17日に、直近30局の対戦成績で20勝10敗(勝率.6667)となり、順位戦C級2組への昇級条件の一つを満たし、めでたくC級2組昇級を決めました。

 

その他の編入事例
  • 1944年に真剣師だった「花村元司」 氏が特例として編入試験をうけ、五段に編入したことがあります。

 

3.奨励会三段リーグ編入試験概要

「プロ編入試験」に比べて、受験資格の基準が低いため、たびたび、受験者はいるようですが、実際に、合格する人はほぼいません。

2007年に創設され、「今泉健司」氏が合格者第一号となりました。(しかし、三段リーグは突破できず退会)

受験資格

  • 過去1年間(4月編入→前年1月~12月/10月編入→前年7月~当年6月)のアマ6棋戦優勝者(アマ竜王戦、アマ名人戦、アマ王将戦、支部名人戦、赤旗アマ名人戦、朝日アマ名人戦)で、四段以上のプロ棋士(日本将棋連盟正会員)から奨励会受験の推薦のある者。
  • 該当アマ1棋戦につき、受験は1回限りとする。
  • 前記の受験資格を有する者であれば、何度でも受験をすることができる。
  • 奨励会三段リーグに編入後に退会した者も受験可。

 

試験内容、合格基準

原則奨励会二段と8対局行い、8対局中6勝で合格。編入資格を得る。

 

合格後

  • 奨励会三段リーグ編入試験に合格すると、次は「奨励会三段リーグ」で、奨励会の三段者同士の対局となります。三段リーグで上位2名に入れば、プロになることができます。
  • 奨励会三段リーグに、「編入試験を経てた場合」は、リーグに2年4期しか在籍できない規定で、2年を過ぎてもプロになれなかった場合は退会となります。
  • 退会となっても、奨励会三段リーグ編入試験は何度でも年齢に関係なく受験できるため、再チャレンジは可能です。

 

 

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