将棋八大タイトル 挑戦者決定までの違い その5「王座戦」
将棋のタイトルは、「名人」、「竜王」、「王位」、「王座」、「棋王」、「王将」、「棋聖」、そして、2017年からタイトル戦に昇格した「叡王」(えいおう)で、八大タイトルとなりますが、それぞれ、挑戦者を決定するまでの予選の過程が異なります。今回は、「王座戦」の詳細について見てみたいと思います。
前身は、1953年から開催されていた「世代別対抗将棋戦」で、1983年にタイトル戦に格上げされて「第31期王座戦」として初開催されました。
「王座戦」の挑戦者決定までの道
「一次予選」 → 「二次予選」 → 「挑戦者決定トーナメント戦」 → 「王座戦五番勝負」の順で行われます。
(予選免除のシード棋士は、「前年の挑戦者決定トーナメントでベスト4」、および、「タイトル保持者」)
1.「一次予選」
- 一次予選参加者は、「シード以外の順位戦C級1組以下の棋士(永世称号者を除く)」、と、「女流棋士4名」です。
- トーナメント戦を行い、6名が二次予選に進出する。
- シード者以外の順位戦C級1組以下の棋士でも、前期の戦績によっては二次予選から出場の場合もあります。
2.「二次予選」
- 「一次予選の突破棋士6名」と、「シード以外の棋士」で、二次予選トーナメント戦が行われます。
- 「二次予選突破者人数」は、シード者の人数により異なり、最大で12枠ですが、毎年10枠前後が挑戦者決定トーナメントに進みます。
3.「挑戦者決定トーナメント戦」
- 予選突破棋士とシード棋士合わせて、16名によるトーナメント戦を行います。
- シード棋士は、前年の挑戦者決定トーナメントでベスト4、および、タイトル保持者。
4.「王座戦五番勝負」
- 現タイトル所持者の「王座」と「挑戦者決定戦の勝者」が五番勝負を行う。
- 例年9月から10月にかけて行なわれます。
- 五番勝負は全国各地(おもに主催各紙の掲載エリア)の旅館や料亭などで行われる。
- 五番勝負は、持ち時間各5時間の一日制で行なわれます。
5.「名誉王座」(永世称号)
- 「名誉王座」は主催者(日本経済新聞社)が1996年9月に制定し、王座を「連続5期」または、「通算10期」以上獲得した棋士に与えられる。
- タイトル戦の永世称号として「永世」ではなく「名誉」を冠するのは、王座戦のみです。
- タイトル戦以外の棋戦では、「NHK杯テレビ将棋トーナメント」の10回優勝で与えられる永世称号が「名誉NHK杯」(獲得者は「羽生善治」氏のみ)となります。
- 他の永世称号と違い、引退後でなく、現役のまま満60歳に達すると名誉王座を名乗ることができるようで、過去に、「中原誠名誉王座」が60歳の誕生日(2007年9月2日)から、名誉王座を名乗ったことがあります。
「名誉王座資格者」
獲得者は二人だけのようです。
- 1996年、「中原誠」氏は、「タイトル戦昇格前の優勝回数10回」と「タイトル戦昇格後の獲得6期」を合わせて16期獲得の実績により名誉王座の資格を取得する。
- 1996年、「羽生善治」氏は、連続5期獲得し、名誉王座の資格を獲得する。