将棋:里見香奈 女流5冠「奨励会退会決定」
里見香奈 女流5冠、「奨励会退会」決定の日(2018年2月18日)
- 将棋のプロ棋士の最終試験であるリーグ戦「奨励会の三段リーグ」に挑戦し、女性初の棋士を目指してきた「里見香奈奨励会三段(25)」が、2月18日に、東京と大阪の将棋会館で一斉に行われた、第62回三段リーグの15、16回戦で連敗し、今期のリーグ成績は7勝9敗となりました。
- たとえ、三段リーグ最終日(3月4日)の残り2局である17、18回戦で連勝しても勝敗は9勝9敗止まりで、勝っても勝ち越すことができないため(延長条件:勝ち越しせば、次回のリーグにのみ参加できる)、年齢制限で退会が決まりました。
- 奨励会には「26歳の誕生日を含むリーグ中に、四段昇格(=プロ棋士)できなければ退会」という年齢制限があり、奨励会の退会が決まり、「女性初のプロ棋士」の誕生とはなりませんでした。
- プロ将棋の制度は、「棋士」と「女流棋士」で制度が異なるため、「里見三段」と「女流棋士」も掛け持ちしていました。
- 女流棋士として年間20~30局を対局し、さらに、奨励会三段リーグは1期半年の18局、つまり年間36局指すことになり、年間対局数は合計50~60局と、かなり多い対局数となります。ちなみに、2017年度の「藤井聡太六段は73局」、「羽生竜王は54局」と、トップ棋士並みの対局数となります。
- 三段リーグは、各自18局を戦って上位2人が四段へ昇段し、プロ棋士となるもので、里見香奈三段の退会により、女性は西山朋佳三段(22)の1人だけとなった。
- 奨励会以外で棋士になるには、プロ編入試験がありますが、合格者は、「瀬川晶司 五段」、「今泉健司 四段」の2人だけしかいません。
第62回三段リーグ、最終成績(7勝 / 11敗 )
- 三段リーグ62期順位:23位 / 参加時期年齢:里見香奈 25歳 /
○長谷部/●谷合/○小高/●三田/○桝田/●渡辺/●岡井/○古賀/○横山/●出口/○三浦/○甲斐/●貫島/●服部/●藤田/●冨田/●本田/●関矢
来歴
- 里見香奈女流5冠は、島根県出雲市出身で、2004年に女流棋士としてデビューし、師匠は、終盤の魔術師の異名をもつ「森 雞二(けいじ)九段、(ちなみに、相撲の元幕内力士の「玉海力」は森九段の甥)」です。
- これまでに、女流タイトルを31期獲得し、現在、六つある女流タイトル戦のうち、五冠を獲得している「史上最強の女流棋士」だと思われます。
- 2011年5月に奨励会編入試験の1級に合格。
- 2013年12月に21歳で「女性初の三段」に昇段しました。
- 2014年3月から12月まで、体調不良を理由に休場。
- 2014年4月から始まる第55回三段リーグへの参加資格を得たが、体調不良のため3回休場。
- 2015年10月から始まった第58回三段リーグから復帰したが、その後の4期は負け越していた。
- 3月で年齢制限の26歳を迎える今回は、12回戦を終えて7勝5敗と白星が先行し、次回のリーグにのみ参加できる延長条件である勝ち越しに近づいたが、そこから4連敗、さらに最終日2局も連敗し、6連敗となり最終成績は、7勝11敗に終わり、奨励会退会となりました。