囲碁初心者の基礎知識、「プロ棋士になるには」
プロ試験運営法人について
- 東京本院・中部総本部・関西総本部から成る「日本棋院」と、独立した「関西棋院」の2つの組織が別々にプロ試験を行っています。なんと、囲碁法人は、統一されていないのです。ちょっと驚きですが・・・
- 「日本棋院」または「関西棋院」で、入段試験を突破した者がプロ初段の棋士となり、プロ棋戦への参加資格を得ることになります。囲碁のプロ棋士は、初段スタートとなります。(将棋は、四段スタートです。)
- 棋士の人数は、日本棋院所属が約300名、関西棋院所属が約110~120名いるようです。
プロ棋士採用試験について
日本棋院(公式サイトはこちらへ)
- 東京本院夏季棋士採用 (1名採用、院生のみ)4月~6月の院生研修 総合成績1位になると決定。
- 東京本院冬季棋士採用試験 (2名採用、外来受験あり)外来予選、合同予選、本戦で決定。
- 関西採用試験 (1名採用、外来受験あり)外来予選、合同予選、本戦で決定。
- 女流棋士特別採用試験 (1名採用、外来受験あり)外来予選、合同予選、本戦で決定。
- 中部採用試験 (1名採用、院生のみ)4月~11月期の院生研修リーグ総合で決定。
関西棋院(公式サイトはこちらへ)
- 関西棋院(0~1,2名採用、院生のみ)院生で1位となっても採用されないこともあるが、特に才能が有ると認められた場合には、2名採用されることもある。
- プロ入りには年齢制限があるが、関西棋院では研修棋士制度を設けており、プロ棋士相手の試験碁で一定の成績を収めればプロ入りが可能である。
院生について
- プロ棋士なるには、棋院の「院生」となって入段試験を勝ち抜くことが一般的です。
- 院生になるには、「試験対局」と「面接(院生師範の審査)」に合格する必要があります。
- 日本棋院で「院生」になれるのは14歳(中2)までで、しかも、棋力は14歳でアマ六段位が必要です。関西棋院では、例外もあるようですが、13歳までアマ七段程度が必要のようです。
- 日本棋院で「院生」に在籍できるのは17歳(関西棋院は男子18歳、女子26歳)までで、プロ入り出来なければ、院生資格を喪失します。
院生になる以外でプロ棋士になるには
- 院生でなくても、「外来」で予選・試験手合を突破することで、プロ棋士になることができます。年齢制限は、外来受験の募集要項で、23歳未満の男女で心身健全な方となっています。
- 関西棋院では「研修棋士制度」を設けており、プロ棋士相手の試験碁で一定の成績(低段棋士と2局と、審査役と1局を打ち、2勝すれば合格となる。)を収めればプロ入りが可能な試験があります。通常、この制度の受験年齢制限は、26歳ですが、「世界アマ選手権全国大会、アマ名人戦、アマ本因坊戦、産経プロアマ戦」、いずれかの優勝経験者は30歳未満まで受ける事ができるようです。(女子院生の年齢制限が26歳(男子は18歳まで)までに伸びたことで、女性の研修棋士の受入は廃止されたようです。)
特殊な事例
- 坂井秀至8段(1973年4月23日生)
京都大学の医学部出身で、医師免許を取得後の28歳の時に、院生の年齢制限は過ぎていたが、関西棋院の特例試験で、プロ棋士と碁を4局打って、勝ち数によって何段からスタートするか決定するというもので、結果4戦全勝だったため、2001年9月1日付で五段デビューとなったようです。
なぜこのような特例が与えられたかというと、坂井氏は早くから注目されていた逸材で、「小学6年生に少年少女囲碁大会で優勝」、「中学生の部で3連覇」、「全国高校囲碁選手権大会では、1990年に個人戦優勝」、「全日本アマ優勝」、「アマ本因坊優勝」、「世界アマチュア囲碁選手権では2000年に世界一」、「国際アマチュア・ペア碁選手権大会優勝(1994年)」(ペアパートナーは当時アマの梅沢由香里)と、幼き頃より数々のタイトルを獲得し、抜きに出た実績があるからこその特例です。
その後、2010年には、「張栩碁聖(当時四冠)」に挑戦し、3勝2敗で初七大タイトルの「碁聖」を奪取しました。大学卒業後にプロ入りした棋士で、初の七大タイトルの獲得者だそうです。