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将棋八大タイトル 挑戦者決定までの違い その1「名人戦」

  • 将棋のタイトルは、「名人」、「竜王」、「王位」、「王座」、「棋王」、「王将」、「棋聖」、そして、2017年からタイトル戦に昇格した「叡王(えいおう)」で、八大タイトルとなりますが、それぞれ、挑戦者を決定するまでの予選の過程が異なります。

その1:「名人戦・順位戦」について

  • 江戸時代初期から続いた家元制名人は推挙による世襲制でしたが、「十三世名人である関根金次郎」の提案、そして、名人位を返上した事により、1935年(昭和10年)に終身名人制が終わり、実力名人制が採用され、1937年に初代実力制名人は、木村義雄八段に決定しました。その後、現在の方式の元となる順位戦が名人戦の予選として、1946年(昭和21年)に「第一回順位戦」が始まりました。
  • 名人戦は、最も歴史があるタイトル戦で、その予選である順位戦には、他のタイトルにはない「引退処遇基準」などの規定があり、最も重要な棋戦だと思われます。
  • 各期順位戦の「対戦組み合せ」と「先手・後手」は、前もって、抽選によって決定されます。(基本的に、対局時に、振り駒は行われないようです。)

「名人戦」の予選:A級順位戦 と A級への道

  • 名人戦の予選は、持ち時間6時間の順位戦で、上位から、「 A級 」「B級1組」「B級2組」「C級1組」「C級2組」の5グループと、順位戦に参加しない「フリークラス」に分かれて行われています。
  • 通常、3段リーグを突破し、4段のプロ棋士デビューとなりますが、まず「C級2組」に入ります。1年ごとに各組で上位2名(C級2組は上位3人まで)になることで、1級ずつ昇級していく仕組みで、ショートカットはできず、「A級」になるには最低4年かかり、最短で名人になるには5年かかります。もちろん、ストレートの4年でA級になった棋士など早々にはいなく、「加藤一二三九段(14歳でプロ入り、4年連続昇級し18歳で8段A級)」、「中原誠十六世名人(18歳でプロ入りし最短で名人獲得)」の二人ぐらいでしょうか?他は知りません。
  • A級順位戦で、1位となった棋士が、名人戦の挑戦者に決定します。
  • 「 A級 」「B級1組」は総当たり戦となるので、「先手・後手」は、抽選によって決定ですが、上位陣すべてと戦うので、運の要素が最も低い棋戦になると思います。
  • A級、B1級は、下位2名が降級します。
  • B2以下は、成績が最下位になってもすぐには降級しません。定員の下位20%になると降級点がつき、その累積点で降級します。↓詳細。降級点は、次年期に、勝ち越すか、2期連続で5勝5敗の成績を残せば、1減ります。C2組の最初の1の降級点は、昇級降級しない限り消えません。

  • 「 A級 」:定員10名、総当たりの  9戦、1位が名人挑戦、下位2名が降級
  • 「B級1組」:定員13名、総当たりの12戦、上位2名が昇級、下位2名が降級
  • 「B級2組」:定員なし、抽選よる相手と10戦、上位2名が昇級、累積降級点が2点で降級
  • 「C級1組」:定員なし、抽選よる相手と10戦、上位2名が昇級、累積降級点が2点で降級
  • 「C級2組」:定員なし、抽選よる相手と10戦、上位3名が昇級、累積降級点が3点で降級
  • 「フリークラス」:順位戦に参加しない。(強制引退の可能性あり。詳細↓)

フリークラスについて(降級、宣言、三段リーグ次点2回、編入)

  • 降級によるフリークラス」:いわゆる陥落で、10年以内に「C級2組」に復帰出来ないと、引退となる恐ろしい規定です。「C級2組」に復帰する条件で最も現実的なものは、「良いところ取りで、連続30局以上の勝率が6割5分以上(年度をまたいでも有効)」。他にもあるが、棋戦優勝とか、ほぼ不可能な条件であると思います。
  • 宣言によるフリークラス」:一度宣言すると順位戦に参加出来なくなる。(他の棋戦には参加できる。)ほとんどの場合、「C級2組から転落」するよりは、引退時期が延びることが多いため、宣言すると思われます。永世名人である「十八世名人の資格をもつ森内俊之九段」のように、B1級に落ちただけで、いきなりフリークラス宣言(2017/3/31)するという、普通の人には理解できないような場合もあります。A級から降級直後に、フリークラス宣言したのは、米長邦雄(永世棋聖)についで、二人目だそうです。その他に、「中原誠十六世名人」がA級陥落後、B級1組に2期在籍した後に、フリー宣言(2002年)しています。

  • 「その他のフリークラス」:3段リーグで、次点2回になると、4段になる権利を得ますが、その権利を行使してプロになると、「フリークラス」からのスタートとなり、10年以内にC2級に昇級できないと引退となります。次点2回になった時、ほとんどの人はこの権利を行使して「フリークラスの4段プロ」となっていますが、過去に佐藤天彦名人が、次点2回でこの権利を得たこと有りましたが、権利を行使せず、その後、3段リーグを突破して「C2級スタートの4段」になったことがあります。
  • 「その他2のフリークラス」:プロ編入試験に合格すると、「フリークラス」からのスタートになります。瀬川晶司(2005年11月編入)、今泉健司(2015年4月編入)の二人が、この制度でプロ棋士デビューしています。

 

「名人戦」 の対局方式など

  • 「名人」と「A級1位の挑戦者」で、4月から7月にかけ、7番勝負を行います。
  • 持ち時間は両者9時間と、すべての棋戦のなかで最長であり、1日目の終わりに封じ手を行い、2日間にかけて行われます。
  • 第1戦は、東京文京区の椿山荘で行われ、2戦目以降は、公募により開催地が決まるようです。
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